バイオフィリア
という言葉があります。
これは、「バイオ=生命・生き物・自然」と「フィリア=愛好・趣味」が合わさった言葉です。
バイオフィリアの観点から、私たち人間は年齢に関係なく自然を愛し続けます。

アクアリウムセラピーをご存じですか?

アクアリウムの癒し効果に関する報告はたくさんあります。
一方で、急速な自宅への普及からトラブルも少なくありません。
水質の管理がされていなかったり、飼っていた生き物が大量に死んでしまったりなど、癒し効果が十分に発揮されていない事例も多いようです。

そこで、私たち、特定非営利活動法人つくば総合研究所は、水生生物の飼育による癒し効果を最大限に発揮するための研究とアクアリウムセラピーの普及を目標にアクアリウムセラピーコーディネーターを養成いたします。

以下、ご興味のある方は、ご連絡くださいませ。

運営団体NPOつくば心理支援総合研究所
代表渡辺智英
電話090-4065-5396

アクアリウムセラピーコーディネーターとは?

アクアリウムの設置が日本中に広がっています。

アクアリウムとは、一般的に「水中の生き物を飼育する設備全体」をさすことが多いようです。
水族館のような数メートルの大きいものから、個人宅にある30cm以下の小さなものまで幅広く普及しています。
特に、新型コロナ感染症が広がって以降、個人宅でメダカや金魚、その他の水生生物を自宅で飼育する人が増えました。
水槽を眺めているだけで、なんとなく癒された感じを体験された方が多かったようです。

ごあいさつ

バイオフィリアという言葉があります。これは、「バイオ=生命・生き物・自然」と「フィリア=愛好・趣味」が合わさった言葉です。1984年にアメリカの生物学研究者であるE.O.Wilsonは、「人には自然とのつながりを求める本能的な欲求がある」という概念を提唱しました。バイオフィリアの観点から、私たち人間は年齢に関係なく自然を愛し続けます。

アクアリウムは、私たちの自然への愛情を喚起する効果があると考えられます。例えば、認知症の方々がアクアリウムを導入することで不適切な行動が改善されたという報告があります(1)。また、高齢者が鑑賞魚を飼育することでリラクゼーション効果があることが、脳波の分析からも示唆されています(2)

幅広い年齢層でアクアリウムの効果が認められています。ショッピングモールに水槽を設置したところ、多くの人が注目し、ストレスの軽減効果が示唆されました(3)。また、アクアリウムをインテリアとして活用することがリラクセーション効果をもたらすことも知られています(4)。注意回復の観点からも、アクアリウムが生理的なストレスの緩和効果があることが報告されています(5)

アクアリウムは大人だけでなく、幼稚園児にとっても有益です。自宅での鑑賞魚飼育が心理的および空間の印象にポジティブに影響を与えることが報告されており(6)、集団での飼育活動を通じて観察力が向上することも報告されています(7)。幼少期は興味を保つことが難しい時期かもしれませんが、世話を続けたり大人が関与したりすることで、興味を維持することができるとされています。

成長にハンディキャップのある人々に関する鑑賞魚に関する研究は限られていますが、これらの知見から、アクアリウムが彼らにも効果的である可能性があると考えられます。アクアリウムはバイオフィリアを刺激するので、人間に共通の本能的な欲求に訴える要素を持っています。ただし、種類や数に注意が必要で、識別が容易であり、追跡が可能な数の魚を選ぶことが重要です。多くの種類の飼育を検討する場合、興味を引く要素として異なる種類の魚(例:エビなど)を導入することも考えられます。

アニマルセラピーは社会的に受け入れられつつありますが、デイケアなどでアクアセラピーを導入する事業所はまだ少ないかもしれません。しかし、今後は注目される可能性が高いでしょう。子供たちと一緒に水の世界を楽しむことは、時にはリラックスし、時には集中する素晴らしい方法かもしれません。

川添敏弘
(公認心理師・獣医師)
酪農学園大学 獣医学群教授

川添敏弘(公認心理師・獣医師)
酪農学園大学 獣医学群教授

参考文献

1)N.E.Edwards、A.M.Beck、and E.Lim、Influence of Aquariums on Resident Behavior and Staff Satisfaction in Dementia Units、Western Journal of Nursing Research、Volume 36(10)、2014.
2)近喰 ふじ子、河野 貴美子、田端 信利、鑑賞魚飼育によるリラクセーション効果、第74回日本心身医学会関東地方会演題抄録、36(7)、625、1996.
3)S.Windhager 、K.Atzwanger 、F.L.Bookstein and K.Schaefer、Fish in a mall aquarium—An ethological investigation of biophilia、99(1)、23-30、2011
4)近藤 雅之、中村 孝之、インテリアアイテムが自律神経活動に及ぼす影響:室内アクアリウムのリラクセーション効果と応用、日本インテリア学会 研究発表梗概集、24、9-10、2012.
5)牧田 真奈、合掌 顕、アクアリウムによるストレス緩和効果について:注意回復理論に基づいた検討、人間・環境学会誌 第18回大会ワークショップ発表論文要旨、14(1)、50、2011.
6)合掌 顕、大井 修三、大橋 明、吉田 恵史郎、自宅における観賞魚飼育が幼稚園児の行動に与える影響について、人間‐生活環境系シンポジウム報告集、41、2017.
7)川添 敏弘、峯 克政、山川 伊津子、堀井 隆行、峯 岩男、動物飼育活動が園児にもたらす効果と動物看護師の役割、Veterinary Nursing、24(2)、15-24、2019.

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